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ろうちゃんは、俺を安心させるように優しく抱き締めて髪をすいている。
その事がとても心地よくて…
だからかな。
來臥の言葉に甘えてもいいのかなって…
…でもね?
「……蘭をこうやって慰める事も出来なくなるな」
俺が求めたら、やっぱりなくなってしまうんだ。
言われた意味がわからなくて、逞しい胸から顔をあげると…
ろうちゃんは少し寂しそうに微笑んでいて…
「………ろう…ちゃ…?」
震えそうになる手でろうちゃんの頬に手を添えると、その手の上から重ねられて…
「…お前には、相応しい奴が傍にいる」
「…な…に……言って…?」
「………そんな顔するな。このまま…連れ去りたくなるだろ…」
背中に回していた手がいつの間にかろうちゃんの服をぎゅ…っと掴むと、ろうちゃんの瞳が切なそうに細められた。
「…ろうちゃんも…いなくなる…の?俺…俺やっと…」
「言うな」
強く抱き締められて、ろうちゃんの顔が見えなくなる。
身体の中から不安が広がり、闇が迫ってくる気配に目眩がしそうだ。
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