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愛結と食堂でプリンを堪能したあと、俺は図書室の閲覧スペースの椅子に座って外を眺めていた。
………かーくんもあきちゃんも…來臥も…
皆、ろうちゃんが突然いなくなった事に驚いていた。
…中庭のベンチに座って何をするでもなく、
ただ…
ぼーっと蒼空を見上げていたら、遮るように影が落ちる。
『気になる?狼帝の事』
その声に小さく首をふると、ふっと笑う声が聞こえた。
『つっても、俺も知らねぇけど』
一番仲の良かったげんちゃんにさえ、何も告げずに消えた事に…
…心の中にぽっかりと空いた穴を痛感させられた。
『……お前が望むなら、調べるぜ?』
『……』
それは、げんちゃんの優しさ。でも、ろうちゃんの事を思うと首を横に振るしか出来ない。
『…どいつもこいつも…素直じゃねぇな』
大きな溜め息をついたげんちゃんは、頭をガシガシかいて俺の横にどかりと座って蒼空を見上げた。
『…俺も詳しい事は知らねぇが…アイツの家がまともじゃねえってのは風の噂で聞いた。
ただ、一つはっきりしてんのは…蘭。
お前が原因で消えた訳じゃねぇって事だ。だから泣くなや…』
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