7208人が本棚に入れています
本棚に追加
『……泣いてないよ』
『嘘つけ。心ん中で泣いてる顔してるんだよ…』
…自分がどんな顔をしているのかわからず首を傾げたら、
深い溜め息と共に頭をグチャグチャに撫で回された。
『痛い痛い何気に物凄く痛い!』
『お前の沈んだ顔を見るとどうしても苛めたくなるのは不思議だなー』
『何その理不尽な棒読み!全然不思議がってないからね!』
げんちゃんの手を叩き落としながら、痛さに目から汗がでそうになったけど睨み付けたら…
げんちゃんはふんわり笑っていた。
『お前が元気じゃないと悲しむだろ
アイツは大丈夫だから。な?』
『…げんちゃん』
俺を元気付ける為にわざとやった事だと思うと、俯いて小さな声でお礼をいうと…
『やっぱ苛めたくなる』
『だから何で!』
げんちゃんの方が素直じゃないよね!って思いながらも、心の中で感謝した。
………それから少しして、ろうちゃん家が火事になった事を知った。
ろうちゃんの家は、
裏の家業を縄張りとしていたらしく、雇い主に裏切られたとげんちゃんが教えてくれた。
幸い、誰も死傷者がでなかったようだ。
,
最初のコメントを投稿しよう!