闇が明ける朝には…

4/35
前へ
/573ページ
次へ
『……泣いてないよ』 『嘘つけ。心ん中で泣いてる顔してるんだよ…』 …自分がどんな顔をしているのかわからず首を傾げたら、 深い溜め息と共に頭をグチャグチャに撫で回された。 『痛い痛い何気に物凄く痛い!』 『お前の沈んだ顔を見るとどうしても苛めたくなるのは不思議だなー』 『何その理不尽な棒読み!全然不思議がってないからね!』 げんちゃんの手を叩き落としながら、痛さに目から汗がでそうになったけど睨み付けたら… げんちゃんはふんわり笑っていた。 『お前が元気じゃないと悲しむだろ アイツは大丈夫だから。な?』 『…げんちゃん』 俺を元気付ける為にわざとやった事だと思うと、俯いて小さな声でお礼をいうと… 『やっぱ苛めたくなる』 『だから何で!』 げんちゃんの方が素直じゃないよね!って思いながらも、心の中で感謝した。 ………それから少しして、ろうちゃん家が火事になった事を知った。 ろうちゃんの家は、 裏の家業を縄張りとしていたらしく、雇い主に裏切られたとげんちゃんが教えてくれた。 幸い、誰も死傷者がでなかったようだ。 ,
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7208人が本棚に入れています
本棚に追加