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…図書室に射し込む光がいつの間にか赤くなっていて、窓を閉めた。
げんちゃんが卒業してすぐに電話があり、
ろうちゃんの家の雇い主が亡くなった事を聞いた。
『あいつはお前を巻き込みたくなかっただけだろ。まだ落ち込んでんなら苛めに行くからなー』
という、理不尽な励ましを受けた。
「…大丈夫だよ、げんちゃん」
誰にいう訳でもない呟きは、扉を開ける音にかき消される。
「帰ろうか、蘭」
「うん」
迎えにきたなっちゃんの手をとれば、なっちゃんはふわりと笑った。
「蘭は大学に進むのか?」
「…えー、もう勉強したくない」
といえば苦笑された。
なっちゃんはこのまま系列の大学に進み、弁護士を目指すみたい。
愛結は母親の後を継いでデザイナーになるとか。
皆それぞれ前にむかって歩いている。
俺も前を向かなきゃ…
風紀委員になったから、本当は1人部屋になるんだけど…
1人であんな広い部屋で寝れないから我が儘をいって、けんちゃんとそのまま2人部屋にいたりする。
「けんちゃんお出かけ?」
扉を開けると靴を履いてるけんちゃんがいた。
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