闇が明ける朝には…

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…………? けんちゃんは俺を見ると微かに眉間にシワを寄せた気がしたけど、すぐ視線をそらされたからはっきりわからない。 …でも 「…あぁ、家の野暮用…帰りはおせぇから先に寝てろ」 「けんちゃん、朝帰り?あぅ!」 「チッ…お前がいうと違う意味に聞こえんだよ」 地味に痛いおでこを擦り擦り剥れていたら、頭に大きな手が置かれた。 そのまま何も言わずに俺を見下ろしているから、首を傾げながら見上げると… 不意に… 「……けんちゃん?」 「……そんなに奴の事…」 「え?」 ボソリと呟いた声は俺の耳にはっきりとは聞こえなくて… 俺を抱き締めた手に力が加えられたのがわかった。 「…けんちゃん…?」 「早く寝ろよ。寝れねぇなら、愛結に頼め」 そういうと、俺を離して出かけていった。 閉じられた扉を暫くみていたが、結局… けんちゃんが何といったのか… 様子がおかしいのはわかったけど、聞くことも出来なかった。 その日から… 1週間たつけど、けんちゃんは帰ってこなかった。 ,
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