7208人が本棚に入れています
本棚に追加
…………?
けんちゃんは俺を見ると微かに眉間にシワを寄せた気がしたけど、すぐ視線をそらされたからはっきりわからない。
…でも
「…あぁ、家の野暮用…帰りはおせぇから先に寝てろ」
「けんちゃん、朝帰り?あぅ!」
「チッ…お前がいうと違う意味に聞こえんだよ」
地味に痛いおでこを擦り擦り剥れていたら、頭に大きな手が置かれた。
そのまま何も言わずに俺を見下ろしているから、首を傾げながら見上げると…
不意に…
「……けんちゃん?」
「……そんなに奴の事…」
「え?」
ボソリと呟いた声は俺の耳にはっきりとは聞こえなくて…
俺を抱き締めた手に力が加えられたのがわかった。
「…けんちゃん…?」
「早く寝ろよ。寝れねぇなら、愛結に頼め」
そういうと、俺を離して出かけていった。
閉じられた扉を暫くみていたが、結局…
けんちゃんが何といったのか…
様子がおかしいのはわかったけど、聞くことも出来なかった。
その日から…
1週間たつけど、けんちゃんは帰ってこなかった。
,
最初のコメントを投稿しよう!