7208人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どうやら、顕彰の家で抗争があったらしい」
「で、顕彰は?」
「今は分家の家に身を寄せているみたいだ。昨日、やっと連絡がとれたんだ」
風紀室で書類を片していた俺の耳に、なっちゃんと愛結の会話が聞こえてほっとした。
相手側から仕掛けてきたらしく、けんちゃんの家からは逮捕者が出なかったようだ。
だけど、怪我人が出たらしく…
けんちゃんのお父さんも肩を撃たれたそうだ。
入院中のお父さんに代わって指示をしていたのが、けんちゃんらしく…
それで戻る事が出来なかったときいて、深い吐息をはいた。
寮に戻ると、ないはずの靴があることに気づいて慌ててリビングにはいると…
ソファーに寝っ転がっている赤い髪をみつけた。
「…よかった…けんちゃん」
…一瞬頭を過った考えにため息をはいた。
「…けんちゃん?」
顔をのぞきこむと規則正しい寝息が聞こえて、その場に座りこんだ。
ケンチャンモイナクナルノ?
少し癖っ毛の赤い髪は、今はたたしていなく…
顔には殴られたような痕もあって…
ここに帰ってきてくれた事に、安堵の吐息をはいた。
,
最初のコメントを投稿しよう!