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「…どーした。眠れないのか?」
「…なっちゃんこそ」
こっちの部屋はダブルサイズのベッドが2つあって、俺達はそれをくっ付けて寝ていたんだけど…
真夜中に目が覚めてしまってからは中々寝付けれなくて…
ベランダに出て、暗い闇から聞こえる波音を聞いていた。
なっちゃんは、何も聞いてこない。
1人であまり眠れない俺を心配して、一緒に寝るか?って言ってくれるけど、
風紀の仕事で疲れているのに、甘えるなんて出来なかった。
…俺は弱い
『感情』は、俺には邪魔なものでしかなく…
誰かに依存しなければ、1人で立つ事も出来なくなるから…
「…なぁ…蘭」
不意に後ろから抱き締められて、低く優しい声色で囁く。
なっちゃんに抱き締められると、酷く安心するんだ。
その暖かさに、
一瞬、言われた意味がわからなかった。
「蘭…俺を選べ」
…………。
今……何…を?
頭が真っ白になって、考える事が出来ない俺に…
なっちゃんの腕に力がこもった。
「お前が好きだ。ずっと好きだった…俺の側にいて欲しい」
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