闇が明ける朝には…

20/35
前へ
/573ページ
次へ
…自分の幸せ 小さい頃は、母さんが幸せなら俺も幸せだと思った。 來臥と一緒にいれたら、それだけで幸せだと思った。 大切な友人達と過ごす日常が幸せだと思った。 …でもね? 俺が『ソレ』を求めると、必ず手から零れ落ちてしまうんだ。 神様には嫌われているから… だから… もう、何かを求めるのは止めようって思った。 俺が『ソレ』を求めなけば、皆が幸せになれるから… 自室のベランダから、闇色に染まった空を見上げた。 『まるで宝石箱のようだね』 不意に思い出した言葉に、苦笑が漏れる。 「…本当に…宝石箱のように瞬いてるよね…」 …俺は、『ソレ』を求めてもいいんだろうか。 今度こそ… 俺も…皆も… …幸せになれるんだろうか。 「蘭、ちょっといいか」 廊下を歩いていたら、前からきた宮ちゃん先生に捕まった。 「お前だけ進路出てないんだが、決まったのか?」 社会科準備室で最初に言われたのが、未提出の進路希望書。 「進学か就職か…どっちかでも決まんねーか?」 ,
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7208人が本棚に入れています
本棚に追加