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「秋って、何か愁いの季節だよね」
「何急に黄昏てるの?」
教室の窓から外を眺めていたら、愛結に苦笑された。
一枚一枚枝から蒼空に舞い上がる枯れ葉をみていた。
春になればまた新しい葉や花がその枝を飾るのに、まるで役目を終えたように散る姿が…
何故か無性に悲しくなった。
…なんて、言えないけど。
「読書スポーツ食欲の秋。あ、モンブランぷりん食べたい」
「結局は食欲の秋なんだね、そういえば七海遅いね」
なっちゃんは、なんか進路指導の先生に呼ばれて行ったきり。
「皆このまま大学に上がるけど、学部は違うから今までみたいに一緒ではないね」
「愛結もこのまま大学に上がるんだっけ」
「うん、蘭ちゃんもでしょ?」
愛結が桃と葡萄と苺の飴を出しながらいうから、思わず唸ってしまった。
「今日は桃!」
「そっちの唸り…あ、七海おかえり」
顔をあげた愛結が、俺の後ろを見ながら言うから振り返ると…
渋い顔のなっちゃんがいて、首を傾げた。
「どーかしたの?」
「………いや」
俺の頭を撫でてからそのまま自分の席に座るなっちゃんを、愛結と不思議に思って首を傾げた。
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