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「…………いいのかよ、追いかけなくて」
「あれ、けんちゃん?帰ったんじゃないの?」
――…
あの日、俺はなっちゃんに自分の気持ちを打ち明けた。
なっちゃんが好き。
それは変わらない。誰よりも安心できて、一緒にいたいと思った。
…でもね?
違うんだ。
なっちゃんのいう"好き"と、俺のいう"好き"の重さは…
…少し違うんだ。
なっちゃんは、俺の思いをわかってくれて…
なら、卒業まで傍にいさせてほしい。と頼まれた。
『俺を身代わりにしてくれ』
至極真面目にいうから、思わず聞き返したぐらいで…
それと同時に…
やっぱりなっちゃんには、俺の気持ちが手に取るようにわかっていたんだなぁって。
「…うん。約束だったから。卒業までの"恋人"として。
…で?けんちゃん、忘れ物?」
「…………あぁ、お前にな」
「?」
俺、部屋に忘れ物でもした?
大学にも寮はあるけど、高等部とは違うから出なければならない。
昨日はけんちゃんと荷物をまとめて、明け渡したはずだし?と思いながら見上げていたら…
頭に手を置かれた。
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