闇が明ける朝には…

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「…ずっと、言おうと思ってたけど、お前を見ていたら逆に言わない方がいいかとも思ってた… つか、言いたくねぇっつーのもあったけどよ…」 何やら思案顔の気難しい眉間のシワを見ていたら、思わずグリグリと伸ばしてしまった。 …叩き落とされたけど。 「…ずっと考えてた。 前に街で偶然会って、気を付けろみたいな事言われてよ… 何でテメーがって。 で、最近やっと理解した。 …あぁ、こういう愛し方もあんだなって」 そう言ったけんちゃんは、どこかすっきりしたように笑っていて… 俺は口を挟む事も出来なくて、ただけんちゃんを見上げていた。 「…俺も、お前が幸せなら誰といようがいいかってな」 「……けんちゃん?」 「蘭… …俺はアイツに助けられた。悔しくてよ…だから何考えてやがるって聞いたんだ。 そしたら… 『アイツの悲しい顔はもう見たくなかっただけだ』 そういうアイツの瞳は優しく笑ってて… 拳や服に血がこびりついてんのによ… …あぁ、俺には敵わねえって思った」 …………。 「…蘭、俺を助けてくれたのは…」 ,
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