鴉の行方…

5/23
前へ
/573ページ
次へ
「出来たんだけど、一緒に食べる?父さん」 「俺は辛党だ」 「こんなの放っておいて、3人でお茶にしましょう」 「チッ…誰も食わないなんて言ってねぇだろうが」 「我が儘な人ですね。やっぱり同じ血じゃないですか」 「うるせーよ。こいつの作ったものなら何だって食うって決めてるだけだろうが」 「大丈夫だよ、父さんのは甘さ控えめの珈琲ぷりんだから」 「流石俺の息子」 「親馬鹿とも言いますけど。紅茶は私がいれますね、蘭珠様」 その言葉に顔をあげて、不満そうに口を尖らせた。 「その呼び方嫌なんだけど」 「一応、決まりなんですよ」 「むぅー」 「その拗ねた口を食べ…」 「あ、お祖父様が待ってるよ?」 にっこり笑った青年の髪は、白銀の綺麗な髪で… 眼鏡の奥の藍色の瞳は、優しく微笑んでいる。 …蘭珠はおぼんにぷりんを4つ載せると、 「先に行ってるからねー」 と行ってしまった。 慌てて後を追う翁蘭と… 慌てて紅茶をいれる紫音が追いかける。 振り返った蘭珠は、穏やかな笑みを浮かべていた。 ,
/573ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7208人が本棚に入れています
本棚に追加