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「出来たんだけど、一緒に食べる?父さん」
「俺は辛党だ」
「こんなの放っておいて、3人でお茶にしましょう」
「チッ…誰も食わないなんて言ってねぇだろうが」
「我が儘な人ですね。やっぱり同じ血じゃないですか」
「うるせーよ。こいつの作ったものなら何だって食うって決めてるだけだろうが」
「大丈夫だよ、父さんのは甘さ控えめの珈琲ぷりんだから」
「流石俺の息子」
「親馬鹿とも言いますけど。紅茶は私がいれますね、蘭珠様」
その言葉に顔をあげて、不満そうに口を尖らせた。
「その呼び方嫌なんだけど」
「一応、決まりなんですよ」
「むぅー」
「その拗ねた口を食べ…」
「あ、お祖父様が待ってるよ?」
にっこり笑った青年の髪は、白銀の綺麗な髪で…
眼鏡の奥の藍色の瞳は、優しく微笑んでいる。
…蘭珠はおぼんにぷりんを4つ載せると、 「先に行ってるからねー」 と行ってしまった。
慌てて後を追う翁蘭と…
慌てて紅茶をいれる紫音が追いかける。
振り返った蘭珠は、穏やかな笑みを浮かべていた。
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