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ここのお屋敷の中庭にある池の側にしゃがみこんで、鯉を眺めていた。
綺麗な模様の鯉は、同じ鯉でも一つ一つ模様が違う。
人も一人一人性格も考え方も違う。
『お前は人より感受性が強い』
父さんが心配していたように、気を抜くと闇に囚われてしまいそうで…
膝を抱えていた。
『………昔もそうやって泣いていたな』
威厳のある冷たい声が背後からかかると、身体がビクリと震えた。
祖父はそれに気づいているのか、俺の横に立つと池を眺めている。
沈黙があまり重苦しく感じなかったのは…
この場所だからか。
『…学校の図書室で、本を見つけました。貴方がこの場所で写っている写真を見て思い出したんです。
異端児の僕を貴方だけは卑下しなかったと…』
顔を上げて祖父と同じように池を眺めた。
『母が後継者の為に身体が弱いのに僕を産んで…
折角授かった子が、こんな髪と瞳で…母に有らぬ疑いを抱かせてしまって…
強かったら…
僕がもっと強かったらって泣いていた時、今みたいに貴方が声をかけて下さった。
"強くなれ"って…』
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