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…あの時は、わかってるけど出来ない!って諦めて。
自分の殻にとじ込もってしまった。
『…僕をこの家から出したのは、周りが忌み嫌っていたようにではなく
僕を心配してくれたからなんだよ…って…
母が家を出る前に、ここで教えてくれました。
何であの写真を見るまで忘れていたのか、わかりませんけど…
でも、
今なら…
今しなかったら、彼らに顔向け出来ない気がします。
強くなりたい。
友人である彼らに護られていたと…』
あの人に、護られているから…
『…今度は、僕が護ってあげたいって。だから…
泣きません。
実際、泣いてないですけど』
祖父の目を見て、見上げた彼の瞳は細められたけど…怒ってはいなくて…
『…貴方に護られるのではなく、護る立場になりたいです』
…そういうと、彼は背中を向けてしまった。
数歩歩いてから…
『なら、明日からワシにつけ
………蘭珠』
そのまま振り返る事なく、でも確かに呼ばれたのは…記憶の中では初めてであろう自分の名前に…
俺は頭を下げた。
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