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「…なぁ、蘭珠。
会長と話し合ったんだが、お前を後継者として親族、関係者らにやっぱり披露しなくてはならないんだ」
…それは決定事項で。
再び夢の中に足をいれそうになった思考を、現実に戻された。
「………俺なんかが、父さんみたくなれる気がしない」
「なんかとか言うな。お前は此処に来てからよく頑張ったじゃねぇか。それを一番理解してる俺が、会長がお前なら大丈夫だって信じてるんだ。
だから、自分を卑下するのはやめろ。
な?」
優しい父さんの声は、俺の心にちゃんと響いてくる。
「…母さんは…喜んでくれるかな」
「あぁ、今の立派に1人で立つお前を一番に喜んでくれるさ。何て言ったって、お前の母さんだからな」
…俺、1人で立ててるんだろうか。
いつも不安が消えない。
弱い。
俺は…まだ弱いよ。
朝日が昇る前の薄明かりの中、俺は池の傍にいた。
此処に来てから、勉強、マナーの他に自分の身を護る為の武術も教えられた。
喧嘩とは違う。
時には躊躇いなく致命傷を負わせなければならないとも…
俺は…
躊躇いなく出来るのだろうか?
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