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ゆらゆら…
ゆらゆら…
まるで水に漂うかのように揺れる身体は、自分の意思を持たなくて…
足や腕、身体に何かが巻き付いてくる。
暗い闇にいるのに、俺の身体を更に引き連りこもうとするソレは…
闇の中に浮かび上がった彼らを映した。
大切な友達である彼らが、遠ざかり…
俺の意識がプツリと音を立てて消えた。
「…!」
不意に聞こえた声は、
俺がずっと求めていた人の声で…
…あぁ、俺はまだ心配かけていたのかなぁ…
消えそうな意識に、身を委ねそうになった時…
暖かい温もりに包まれた。
それは、足や身体に巻き付いていた闇を消していく…
「…っ…ん!」
再び聞こえた声は、闇の中から俺の身体を抱き上げていく。
「蘭!」
俺を呼ぶその声に導かれるように、闇が弾け…
霞む視界に、
闇色の瞳が映った。
…夢?
そうかも知れない。
だって…
あの人がこんな所にいる訳ないから…
俺の頬に触れる温もりを感じて、再び意識を手放した。
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