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「……甘い匂いがする」
「あ。もう何でくるかなー。というか、早くない?帰ってくるの」
「俺が帰ってきたらダメか?」
「う……そんな事言ってないもん。ろうちゃんのかば…うぎゅっ!」
尖らせた口をいきなり掴まれて、ポカポカとろうちゃんの広い胸元を叩くも効き目はないようだ。
「むー!むー!」
「何言ってるかわからん」
「むー!ぷはっ!…口が尖るかと思った…」
「尖ったら喰いやすくなるな」
「あれだよね。ろうちゃんって肉食獣だよね」
「否定はしない」
…して下さい。
ぶぅーっと剥れたまま、手元の作業を続けると…
後ろから抱き付いてくるろうちゃんに、小さく笑った。
「別に怒ってないよ」
「なら何で機嫌悪い…」
「……吃驚させたかったから?」
そう言って、指で掬ってろうちゃんの口に入れた。
「…そんなに甘くない」
「うん、ろうちゃんも父さんと同じで甘いの苦手でしょ?悩んだんだけど、でも折角だからさ」
スプーンで掬って、まだ生暖かいチョコレートをカップとタルトに入れていると…
その手を掴まれたからチョコレートがテーブルにたれてしまった。
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