◆番外編*いち◆

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「……甘い匂いがする」 「あ。もう何でくるかなー。というか、早くない?帰ってくるの」 「俺が帰ってきたらダメか?」 「う……そんな事言ってないもん。ろうちゃんのかば…うぎゅっ!」 尖らせた口をいきなり掴まれて、ポカポカとろうちゃんの広い胸元を叩くも効き目はないようだ。 「むー!むー!」 「何言ってるかわからん」 「むー!ぷはっ!…口が尖るかと思った…」 「尖ったら喰いやすくなるな」 「あれだよね。ろうちゃんって肉食獣だよね」 「否定はしない」 …して下さい。 ぶぅーっと剥れたまま、手元の作業を続けると… 後ろから抱き付いてくるろうちゃんに、小さく笑った。 「別に怒ってないよ」 「なら何で機嫌悪い…」 「……吃驚させたかったから?」 そう言って、指で掬ってろうちゃんの口に入れた。 「…そんなに甘くない」 「うん、ろうちゃんも父さんと同じで甘いの苦手でしょ?悩んだんだけど、でも折角だからさ」 スプーンで掬って、まだ生暖かいチョコレートをカップとタルトに入れていると… その手を掴まれたからチョコレートがテーブルにたれてしまった。 ,
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