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まだ薄暗い朝に起きる俺の隣では、
安心して俺の胸元に擦りよる蘭珠がいる。
本当ならば、蘭珠は俺の雇い主だ。
雇われボディーガードが同じ床につくなど、あってはならないだろう。
だが、これは蘭珠が望んだ事。
紫音さんや会長も認めた。
…ただ1人、未だに俺を敵視している社長がいるが。
春が近いといえど、素肌は寒いのだろう。
少し離れた俺を追うように伸ばされた手を握り、俺の代わりに狼のヌイグルミをやれば…
満足そうに抱き付いている。
この狼が何故か俺に似ているからと、今一番のお気に入りらしい。
嬉しいような複雑な気分だが…
「……ろ……ちゃ…」
そう言いながらふにゃりと笑うから、俺の口元も緩んでしまうんだ。
蘭珠の額に口付けてから、その場を離れた。
今日は特別な日。
普段、俺が蘭珠に甘いといっても限度がある。
仮にも次期社長になるんだから、普段は厳しいぐらい制限されるんだ。
何をするにも…
だから、
今日ぐらい好きな事をさせてやりたいだろう?
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