Chapter1 くくるもの

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「--ちゃん。菊理ちゃん」 私を呼ぶ声にはっとする。 考えごとをして気づかなかったけれど、後ろに三門さんが立っていた。 「わ、三門さん。おはようございます」 慌てて挨拶した。 朝の儀式の準備をしている三門さんは水色の装束に袴姿。 淡い色使いの装束が黒髪優面(やさおもて)の顔によく合っている。 いつから後ろに立っていたのかな。 「おはよう。何か夢中になるものがあったのかな」 三門さんが私の横に立って話す。 「あ、はい。あのてるてる坊主って、三門さんが付けたものですか」 てるてる坊主を指差して尋ねた。
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