Chapter1 くくるもの

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「てるてる坊主? いや、知らないな。お客さんが付けたのかな」 そう言いながら持っていた枝切り鋏をてるてる坊主に向ける。 「え、ちょっと、三門さん?」 「どうしたの?」 鋏を紐に当てながら三門さんが尋ねる。 「それ、切っちゃうんですか」 「ああ、僕。てるてる坊主嫌いだから」 さらりと答えられた。 「いや、もしかすると今日来られるお客さんが付けたのかなと思って」 「ん? ……そうか。そうかもしれないね」 そう言って、三門さんが鋏を戻す。
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