Chapter1 くくるもの

8/43
前へ
/2222ページ
次へ
「ああ、そうそう。お願いしたいことがあったんだ」 三門さんが自分の手を軽く叩きながら言う。 「お願い、ですか?」 「うん。悪いけど、榊の枝を切ってきてくれないかな。2、3本でいいんだけど」 榊の枝は玉串という神様に捧げるものに使う材料。 この神社の境内にも植えてある木だ。 それで枝切り鋏を持っていたのか。 「分かりました。取っておきますね」 と言って、枝切り鋏を受け取った。 「ありがとう、助かるよ。今日は七五三があるんだけど玉串が切れてるのを忘れてね。ん……。ああ、そうか」 三門さんがまた手を軽く叩いた。
/2222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33313人が本棚に入れています
本棚に追加