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二階に上がると、より強くなる腐敗臭。
小窓から陽の光が僅かに射し込んでいるが、灯りとしては役に立たない。
暗闇の廊下を懐中電灯で照らす。
一階と同様に並ぶ五つのドア。端から201号室、202号室という順の部屋番号。
さっきの物音がした場所は、やはり201号室だったようだ。
と……。
懐中電灯の光を下に向けた私は、背筋が凍る思いをした。
廊下に広がるのは大量の血が染みた跡。
染みは各部屋のドア下に続いていた。
この大量の血は部屋の中から染み出したものなのか、廊下を伝って各部屋に流れていったものなのか。
どちらにしても、惨劇の跡を示していた。
砕けた壁やガラスの破片が散らばり、血のついた鉄パイプも転がっている。
一階の管理人室の状況といい、ここで起きた惨劇は祭りの場で起きたものとは大きく異なるようだ。
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