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七年前の姫神祭りの日。
舞台に残った村人達は生贄の呪いによって自ら命を落としていった。
大勢の村人達が一斉に自害した惨劇。
ここで起きた惨劇はそれとは異なる。
目の前に広がるのは、直接的な争いがあったと思われる痕跡。
アパートの住民に対する第三者による凶行。
同じ滅びでも、性質は大きく違う。
生贄としてその身体を捧げたのではなく、生きるために抵抗した上での滅び。
未練は大きいだろう。
一体誰が惨劇を生んだのか。
アパートの住民達は何と戦ったのだろう。
そして【S棟 201号室】のメモ。
私は静かに廊下を歩き、201号室の前に向かった。
ドアの前に立ち、懐中電灯の光が201の部屋番号を照らす。
ここだ……。
ドアノブに手をかけようとするが、躊躇ってしまう。
【危険だからです】
柚利の言葉が気にかかる。
建物にはまだ危険な何かが残っている?
滅ぼされた者達の怨念や復讐か。
滅ぼした者がまだ潜んでいるのか。
それはこの部屋の中に……。
ドアノブに手が触れる。
と、その瞬間。
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