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…………。
……。
顔中が雪に被われて苦しい。
冷たさより苦しさに耐えられず、私は顔を上げた。
はぁ、はぁと小刻みに空気を吸う。
崖下に落ちたのに私は生きていた。
深くやわらかい雪の上に落ちたから助かったのかな。
じゃあ、お姉ちゃんも……。
ゆっくりと身体を起こした私は、まだ空気の緊張が続いていることに気づいた。
お姉ちゃんの姿は見えない。
だけど不思議な力はさっきより強く感じる。
力を感じる方向は分かる。
もしかするとお姉ちゃんはそこにいるのかもしれない。
私は落ちていた荷物袋を拾うと、やわらかい雪の上を歩き始めた。
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