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蝶からも不思議な力を感じるし、羽はナイフみたいに鋭くて固い。
これじゃあ林の中に入れない。
でもきっとお姉ちゃんはこの中にいる。
私は黒い蝶をじっと見つめる。
邪魔しているのはこの蝶一匹だけ。
上手く避けられれば……。
落ち着いて、ゆっくりと息を吸う。
冷たい空気が身体中を巡る。
落ち着いて、だけど足に力を込めて……。
いち、にの……、
「さんっ!」
私は正面から蝶に向かって走ると、前のめりに倒れ込むように跳び込んだ。
ビュンと頭の上で空気が切られる音がする。
なんとか避けられた?
雪の上に手をついて、すぐに起き上がると私は木の間へ走り込んでいった。
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