Chapter12 かこむもの

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木々の隙間を走ってゆく。 後ろから蝶が追ってきているかもしれない。 私はスピードを緩めずに走った。 深い林の中、雪に混じって土も見え隠れしている。 こんなに寒いのにしっかり伸びている草のツルが時々足に当たって痛い。 だけど走り続ける。 進む方向は分かっていた。 感じる力はどんどん強くなっている。 林の奥に高い崖が見えてくる。 強い力はその中心から感じる。 すると、目前の木の裏から黒い蝶が現れる。 私は慌てて立ち止まった。 今度は二匹……。
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