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黒い蝶は死んでしまった。
背中の傷はまだ痛いけど、助かったのかな。
そう思いながら、なんとか立ち上がる。
でも、目の前にもっと恐いのがいる。
黒い蝶をあっという間に握り潰してしまった白い腕。
雪の上に出ているのは腕だけ。
身体は見えない。
とても白く、生きている感じのない腕。
でも死んでしまっていたら動けないはず。
ウルちゃんは動かなかったから。
雪の中に誰かいるのかな?
「えと、ありがとうございます」
私は腕だけの人にお礼を言うと、あまり近づかないように避けて歩いた。
林の奥に向かって歩くと、大きな洞穴(ほらあな)が見えてくる。
不思議な力、プレッシャーはその中から強く感じた。
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