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私が洞穴の入口へ近づくと、中から人影が……力の主が現れた。
「……くくり?」
黒い影が私を呼ぶ。
「お姉ちゃんっ!」
声の主はお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんは寝間着でない、いつもの黒い着物を着ていた。
「くくり、どうしてここに……」
と言いかけたお姉ちゃんの目が、私の後ろに注目する。
後ろには、さっきの白い腕と潰れた蝶。
ああ、そういうことか。というようにお姉ちゃんが頷いた。
「こっちにおいで」
お姉ちゃんの手が私を洞穴へ誘う。
「“くくりの祠(ほこら)”を見せてあげる」
と言い、また洞穴の中に消える。
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