Chapter12 かこむもの

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私が洞穴の入口へ近づくと、中から人影が……力の主が現れた。 「……くくり?」 黒い影が私を呼ぶ。 「お姉ちゃんっ!」 声の主はお姉ちゃんだった。 お姉ちゃんは寝間着でない、いつもの黒い着物を着ていた。 「くくり、どうしてここに……」 と言いかけたお姉ちゃんの目が、私の後ろに注目する。 後ろには、さっきの白い腕と潰れた蝶。 ああ、そういうことか。というようにお姉ちゃんが頷いた。 「こっちにおいで」 お姉ちゃんの手が私を洞穴へ誘う。 「“くくりの祠(ほこら)”を見せてあげる」 と言い、また洞穴の中に消える。
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