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教室に入ると、案の定、担任の岡部は俺より先に教室にあがってきていて。
「はい、すんません」
てきとーに謝罪の言葉を述べながら自席に着き、岡部が俺から注意を外し、朝の報告を述べ始めた後、気付かれないように、はあぁっと深いため息をつく。
…結局、古泉は何でハルヒを好きだなんて言ったのか、わからずじまいで、おまけに遅刻までしてしまった。
しかも耳には、古泉の声の余韻が残ってる。
「憂鬱だ…」
「ちょっとキョン」
2度目のため息をついていると、つんつんっと背中をつつかれ、のろのろとした仕草で後ろに上体を反らすと、
「香水、あんたにあってないわよ」
意味の分からないことを耳元で囁かれ、はぁ?と気の抜けたような声を上げてしまった。香水?
眉を寄せてハルヒを見つめると、ハルヒは目をぱちくりして、改めて俺の制服に顔を近づけ、やっぱり、といった感じに眉を顰めた。
「つけてないの?…甘い匂いがするけど…」
「知らん。俺は香水なんて」
持ってないし…と、そこではっと思い当たる。
…いや、まさか…でも…
「なんか、古泉君みたいな香りがするわ」
…やっぱり。
きっとこれは…古泉の香りだ。
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