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「ふ…ぅ…」
卑猥な水音を鳴らしながら、やっと古泉の口が離れていき、俺は高鳴る胸を押さえ、壁に体をもたせかけた。
体に力が入らない。
「なに…すんだよ」
やっと出たと思った声は、とても弱々しいそれで。
乱れた息を整えようとした俺の頬に、不意に古泉の手が触れる。
「おかしいぞ、お前」
その行動に、俺は身を縮ませて、後ろの壁にこれでもかと言うくらい体を押しつけた。
すると、古泉に、少し悲しげに微笑まれて。
その微笑に、胸が少しきゅんとしたことは、絶対に言ってやらない。
「なんなんだよ…」
頬に触れている手を、震える手ではずそうと試みる。が、うまく力が入らず、結局は何もできない。
不意に、ひやりとした指が、俺の熱くなった頬を滑り、口端から零れた唾液を、そっとぬぐい取る。
「おかしいですよね…けれど…」
それとは反対の手で、髪をなでるように触れられて。
「あなたが、愛しくてたまらないんです」
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