137人が本棚に入れています
本棚に追加
「…いきなり何を言い出すんだ」
心なしか痛みだした頭を押さえ、突発的な発言をした隣の少年を横目で見上げ、俺はそう問いかける。
不意に吹いた柔らかい風になびくくらい、さらさらの茶色がかった髪。
よく見なくてもわかるぱっちりとした瞳は、一見女子のものであるように錯覚するが、よく見てみると、実際は切れ長の、男としての色気のあるものだ。
背丈は俺(=平均)より8㎝(言っとくが、俺は平均だ)高く、声も、低すぎない、言ってしまえば甘いテノールである。
性格だって、俺からしたらただの胡散臭いイエスマンだが、他の女子からしたら、きっと大人びた存在に見えなくもないだろう。
…まぁ要するに、あんまり言いたくないが…こいつには、女子受けするイケメン要素が揃っている男だと言うことだ。
…だと言うのに…
「…ついに頭がイカレたか?」
すると、その少年…古泉 一樹は、しばしその切れ長の瞳で、俺をじっと見つめ返してきた。
「…何だ、気色悪い。こっちをみるな」
「…いえ、つい…」
いつもの微笑を軽くひきつらせたような、少しおかしな顔をした古泉。
…ついってなんだ。
「お前は目があった奴の顔を、意味もなくじーっと見つめるくせがあるのか」
初耳だし、そんな奴がいることさえ知らんぞ俺は。
少なくとも、今まであったこと無い。いや、ハルヒがいたな。
「いえ、そういうわけではありませんが」
最初のコメントを投稿しよう!