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聞いて、と言われるように肩を叩かれ、俺は言おうとした台詞を飲み込み、抱きしめられたまま、身体の力を抜いた。
そんな俺を確認し、古泉は話し出す。
「…僕は…涼宮さんの一挙一動に巻き込まれるのが、楽しくて仕方がなかったんです」
…言葉一つ一つに、重みを感じて、これは全て、偽りではないと理解する。
「…初めて部室に連れてこられたとき」
…脳裏に浮かぶのは、初対面にも関わらず、笑顔で片手をさしだして、握手を求めてきた古泉。
あの時から、古泉は、謎の転校生として、SOS団の一員になった。
「それからすぐに、世界が崩壊の危機にさらされたとき」
…あれを楽しかったですませるのか、と言おうとして、開こうとした口を慌てて閉じる。
今は、古泉の話を聞かなくてはいけないんだ。
「それから、映画撮影をして…それから…」
…古泉は、しばらく、SOS団が行ってきた行事、巻き込まれた事件を、正確に述べていき、…途中で、話を止めた。
「…古泉?」
「…僕は、ある日を境に、よくあなたを見るようになりました」
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