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「お父さんでもお母さんでも何でもいい。とにかく質問に答えろ」
話が進まないんだ。それに、こんな話を、男2人でしているのもかなり精神的ダメージが強い。
けれど、そんなことを考えていられたのも、
「…さぁ」
この返答を発せられる直前までで。
そう告げられた瞬間、目の前が真っ赤になり、気づいたら俺は、古泉の胸ぐらをつかんで、その身体を、勢いよく近くの塀に押しつけていた。
ザりっと、靴の底が地面で擦れる音がし、ガッ!と、塀に古泉の背中を叩きつける音がする。
視界の端に、俺と古泉を見て慌てる通行人やら北高生やらが見えるが、サツを呼ばれようが何だろうが、今の俺には関係ない。
「…と言ったら、さすがに怒りますよね」
「お前…っ!」
叩きつけられた時、受け身をとるなりしたのか、叩きつけられたはずの古泉は、俺の瞳を見つめて、クスクスと余裕に似た笑みを浮かべている。
くそ、手加減なんてしなかったはずなのに。
「…お前さっき、ふざけでハルヒが好きだと言ったのか」
だいぶ調子が戻ってきたのか、イエスマン的笑顔で、古泉は俺に感情を読みとらせてくれない。
「だったとしたら?」
その台詞にかっとなり、俺は無言でばっと右手を振り上げ、辛うじて残っていた理性で、握りしめていた拳を開き、けれど古泉の頬めがけてそれを振り下ろす。
が。
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