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「本当の僕はね…あなたが想像できないくらい、子供なんですよ」
そして、古泉は一瞬…本当に一瞬だが…苦しむような、苦々しい顔を見せ、間もなく俺から目をそらした。
「古泉…?」
「では」
と、戻されたその顔にはもう、いつもの微笑がはかれていて。
ふと、乱れた髪を、指先で軽く梳かれる。
「行きましょう。どうやら、時間もそろそろ危ういようです」
古泉は、動こうとしない俺をみて、ふっと微笑み、俺の手を握りしめ、さっさと歩き出した。
いきなりのことに、うまく頭が働かない俺は足をもつれさせ、困惑する。
「は、え、ちょっ」
「涼宮さんをお慕いしている僕から、あなたに一つお願いがあるのですが」
もつれていた足が、だいぶ落ち着いて歩けるようになった頃、古泉は、俺の方を振り返って、にこっと笑った。
…いやな予感がビンビンする。
「いやだ」
「涼宮さんについて、色々教えていただきたいんです」
おい。俺は今いやだと拒否したはずだが。
「あなた以外に、頼む方がいないんです」
「…俺じゃなくてもいいだろうが」
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