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目の前には、古泉が立っていた。
前回と同じ、学ラン姿で。
前回と違うのは、ハルヒがいないことだけである。
『なぜ、僕とあなたしかいないんですか』
明らかに不快の色を滲ませる古泉の顔を見て、俺は顔をくしゃっと歪め…ることはなく、むしろすがすがしい気持ちで、その古泉に苦笑を返した。何を笑ってるんですと食ってかかられても、俺にもよくわからない。
でも、やらなきゃいけないことはわかってる。
『話をしようじゃないか』
この世界で、初めて自分の声を聞いた。
さっきまでひっきりなしに高い声を上げ続けていたにも関わらず、自分の声は、驚くほど透き通っていた。
『話?僕とあなたが、なぜ?』
理由がわからない、か。じゃあ教えてやろう。
『おまえと俺が、2度と顔を合わせないように、だ』
そこで初めて、古泉の強気な双眸が、揺らいだ気がした。
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