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顔を上げた古泉は、そりゃあもう情けない顔をしていた。
でも、そっちの方が、俺は好きだ。
『…ほら、あなたは、そういうことを言うんです』
古泉が、苦みの滲む、けれど、先ほどまでの殺意に似た雰囲気は、全く消え失せたそれで、ほほえんだ。
そして不意に、俺の頬を撫でる。
『凍ってしまった僕の心を、いとも簡単に溶かしてしまうんだ』
優しく動く古泉の手は、驚くほどにあいつに似ていた。
でも、同じじゃない。
『…俺、さ』
『はい』
お前のこと、結構好きだったんだぜ。
そう告げると、古泉は一瞬虚を突かれたような顔をして、
『…僕もですよ』
多分、と、苦笑をした。
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