二章

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血風のなか翔乃進は無我夢中で敵と戦っていた。 もう何人の兵士を殺したか分からない。 ふと、気が付くと自分の兜と鎧は血で赤黒く染まっていて、刀までもが血でよごれていた。 (紅は人殺しでいいのか?)自分の姿を見た翔乃進は思った。 (紅は自分の告白を受け入れてくれたが、本当にこんな人殺しが紅と一緒にいてもいいのだろうか。) そんなことが胸をよぎったとき、後ろから殺気を感じて振り向くと、そこには自分もふりあげた刀も血まみれでありながら目まで血走らせた敵の姿だった。 (しまった!) そう思ったときにはすでに遅かった。次の瞬間、腹部に鋭い痛みを感じた。耐えきれずに、その場に倒れこんだ。全ての音と光が遠退いていく。 (あぁ、そうだ。帰ったらあの桜の木の下で、二人っきりで、花見するんだった。紅の作る団子はうまいから文字どおり花より団子になるんだよな。) 全ての音と光が消えると今度はきゅうに寒くなった。翔乃進は、死を確信した。(紅、紅、すまない) それから、意識がなくなるまで、考えていたのは全て紅との思い出だった。
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