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腰を掴んでいた手を離し、自分の耳を塞いでパニくる会長の両手を優しく包む。
手に触れた瞬間、会長がびくついた。
「久しぶりなんだから、もっと素直になったらどうです?」
「・・・っっっっ!」
「一方的に抱き着いただけで満足したなら、もう離しますけどね。」
「――――・・っっっ!!」
開いた口が塞がらないのか、言い返せないのが悔しいのか、
パクパクと声も言葉も出ない口を動かしたまま真っ赤になって身体を震わせている。
たーのしーぃ。
「このまま仕事して解散する?言っとくけど俺昼休みは用あるから放課後まで逢えないよ?」
「・・・っっ」
「どーする?かーいちょ?」
「~~~~~っっ!!」
・・・ブフっ!
何力んでんの会長!
何奮えてんの会長!
頬パンパンですけど!!
涙目で睨まれても怖くねーし!!
つーかやべーっ!
アホってやべーっ!!
「~~~~~~っっっ!!!!」
力み過ぎてプルプル震える会長は、何か言いたいのに声にならないまままだ口をパクつかせている。
そろそろ強がりも限界だろうに、相当恥ずかしいのか何も言えていない。
・・・しょうがないな。
留め金外すくらいは手伝ってやるか。
「じゃあ俺仕事片しますね。」
「!」
タイムアップを告げるように、会長を膝から降ろす動作に入った瞬間・・・
会長がそれに反して今度は真正面から抱き着いてきた。
「・・・。」
内心見事獲物が罠に掛かったような感覚で、
またしても俺の肩に顔をうずめる会長には見えないように、得意げに笑う。
それでも向かい合った状態で抱き着かれると、つい自分も抱きしめ返したくなる不思議。
無意識に会長の背中へ腕を回す。
膝に乗っかってるせいで少し座高が高くなっている会長の、鎖骨あたりに顔をうずめる。
・・・これも無意識。
触れた途端に気付く。
案外、
俺も会長と同じ気持ちだったのかもしれない。
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