09..帝 国 革 命 !?モテの神髄と嫉妬の究極!

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「い、一条会長!」 野次馬の中の誰かがそう叫ぶと、周囲は一斉に呼ばれた人物へ目を向ける。 生徒達も思わずその人物を中央へ誘うように道を開ける。 二人が正面から睨み合う姿が見えるようになった。 那智がうなだれた理由、それがまさしく一条夏弥だ。 今期から中等部の生徒会長を任され大阪からやってきた那智の妹分。こっちは血は繋がってないけど。 「双子妹!この3日でなんぼ揉め事起こすねん。」 左上に結われたしっぽのような髪は夏弥のトレードマーク。 その見た目とは裏腹に、がっつり浪花の口達者。 「うっさい米。でしゃばんないでよ。」 夏弥の登場に眉をしかめる琶月。 こちらもまた負けず嫌いの強気娘。 「"新"抜かすな。この秋取れたてのふっくら米や。」 「関西の人ってなんでもボケりゃいいと思ってんのよね。馬鹿みたい。」 「喧嘩腰やなー相変わらず。双子姉の温厚さと足して2で割ったらえんちゃん?」 「へっぽこ柚月はただのヘタレ。あんたこそその見た目計算?妹キャラの王道過ぎ。それで生徒会長とかヘソで茶が沸く。」 「会長職は見た目ちゃうやん、器。」 「ハッ、大阪の宇乃宮から来たばっかのくせにどんだけ自信家なの。」 「嫌やわその態度、かわいない。その顔と組み合わす性格選び直したほうえぇんちゃう?」 ・・・どんだけ水と油・・・。 琶月は腕を組ながら同じくらいの背丈の夏弥を睨み付ける。 夏弥もまた腰に拳を当てて睨み返す。 学年も同じで背丈もキャラもかぶる極度のブラコン。 因みにちゃっかり紹介されていたが、琶月の双子の姉・柚月は妹とはまるきり反対の性格でかなり引っ込み思案。 なんの問題もないが・・・ 妹の琶月は内部調査が始まってからずっとこの調子で騒ぎを起こしまくっている。 一部ではそれに対してのクレームも届いているようで、 実際はももしろが仕組んだことなのに会長が叩かれているのだ。 野次馬達もこの二人が鉢合ったことで「これやばくね?」みたいな空気になっている。 「・・・嫌やわ俺・・・あの双子強烈やもん。夏弥の教育上アカン。」 「過保護な親か。」 那智はその揉め事に夏弥が巻き込まれることが嫌なのと、 双子妹が夏弥にやたらとぶつかることが気に入らないらしい。 ・・・兄馬鹿にも程がある。
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