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「最長の女帝歴は素晴らしいけど、最近の女帝は随分たるんでると思わない?今だってあたしを野放しにしたまま、生徒の訴えになんの反応も示してこない!中等部を新米会長と内部調査員に任せて自分はなんの干渉もしないくせに、次の視察の時には"さすがヒメギミ"と絶賛の声!日頃の職務だって秘書が優秀だからでしょう!?その秘書にだって範囲外の仕事を押し付けて我が儘好き放題!このままじゃ鷹乃宮の格は間違いなく地に堕ちる!」
俺の腕から離れ、睨む瞳は周囲の一人一人を確かに捕らえる。
強い意志に捕らえられた人間は目を逸らすことなく聞き入った。
「中等部生徒会長の続くリコールだって、女帝自ら指導することだって出来る筈!金と力があるだけの道楽学校と言われたい!?陳腐な音立ててドヤ顔浮かべる部活動に出す金なんか今の世の中ありゃしないっての!鷹乃宮は昔から畏敬の念を抱かれ、この国の可能性を生み出す聖域として崇められていたんでしょう!?あたしが呼ばれた理由は秩序を正せた学院を確かめること!なら正すために口を挟むことも必要だわ!!」
・・・す・・・
すっげ――――――――!!!!!!!
―パチ・・パチパチ・・
「!」
周りのどこからかポツポツと拍手が届く。
夏弥も圧倒されているのか口を開けたまま声が出ない。
一瞬にして人を取り込んだその存在は再び俺のほうを振り向き、強気の笑みを浮かべる。
「あたしはねセンセ、兄さんが欲しい。女帝が憎い。だけど桃城にビビってたら目的を果たせない。頭の出来が桃城に劣ってるとは思わないから、あたしはこの立場を大いに利用させてもらう。」
そう言って背を向けその場から離れた。
揺れる黒髪を見つめながら、内心「かっけー・・」なんて呑気に感心。
どこか"高遠美優"を思わせる14歳は、はっきりと現女帝を否定していった。
つーか・・・
俺以外で会長をあそこまで全否定した奴・・・
初めてだ。
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