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~美優side~
「ほんっとうに、すまない!」
連日聞こえてくる、内部調査員の騒ぎ。
その言動に学院全体が揺れ、その不満は飛鳥に集中している。
原因が私の腹違いの妹とあって、私が今目の前で頭を下げている人物は非常に不愉快のようだ。
「・・・ほんと、生意気。」
腕を組んだまま、決して私に目を向けないモモ。
その立ち振舞いから発せられる空気が周りを凍らせていくようで、私の心拍数はどんどん早まっていく。
「た、多少強引にでも内部調査員を替えてほしい。罰は全て私が受ける。あの子らにも強く言って聞かせる!だから・・・」
「みゅうチャン、その口黙れない?」
「・・・っ!」
モモに従ってしまうのは最早無意識。
あえて弱味を握られているわけでもないのに、こうも恐れてしまうのは・・・"桃城梓"という人間を誰よりも知っているから?
・・・いや・・・それとは違う気がする。
「・・・桜御琶月・・・面白い子。あぁいう人間は駒にすれば有益なんだけどねぇ。」
「・・・。」
「ふふ・・そんな顔しないで?心配しなくても、みゅうチャンの大事な妹をどうこうしようなんて思ってないから。」
そう言って私に視線を向けて艶のある笑みを浮かべた。
そしてすぐにいつもの調子で溜め息を吐く。
「何が心配って、明日からモモ暫く学校休むんだよねぇ。」
「は?」
「だからその間、みゅうチャンお願いね?」
「・・え!?」
こ、この状況でいきなりの戦線離脱宣言!?
モモが居なかったらおさまる話もおさまらないぞ!?
「や、休むってなんで・・・」
「総帥からのお呼び出しぃ。モモが唯一逆らえない御方ぁ。」
「!?」
総帥・・・飛鳥のお父上だ。
確かに唯一モモが頭を上げられない方。
・・・いやいやいやいや!
だからって何故今なんだ!
いや総帥は御忙しい御方だから都合を合わせるのは当然だが!
飛鳥は芹沢と喧嘩してて無能タイムに入ってるんだぞ!?
「んじゃ、頼んだよ♪」
「え!?って明日からじゃないのか!?授業・・というか飛鳥のお父上がモモになんの用・・!?」
「多分ひびきクンのことじゃないかなぁ?前の初デートのことは報告してたから、時間作って下さったのかもー。」
荷物をまとめ、なに食わぬ顔で帰ろうとするモモ。
だから、困惑する頭に一瞬よぎった思考が、
私を少し冷静にさせた。
「・・・何か策でもあるのか?」
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