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ダダ漏れの小声のするほうに顔を向けると、隣のクラスの女子だった。
勿論俺は知らない奴。
しかし俺が知らなくたって向こうは知ってる。
それが俺の無理矢理立たされた定位置の看板。
俺が顔を向けた瞬間、コソコソ話していた女子二人がビクつきながら顔を赤らめた。
そしてまた二人で何かを話しながらはしゃいでいる。
・・・なんなんだ?
―ボソ・・
「"ほんま芹沢様てかっこえ~!"」
「は?」
「て、騒いでんちゃう?モテモテやな。」
「キモ。つか、有り得ない。」
「芹沢君はかっこいいよ?頭いいし、会長秘書だし。」
「杉浦ほのかのソレは、俺って言うより俺の肩書きと能力だろ。」
ミーハーな奴が主に騒ぐネタ。
別に俺自身がどうこうって話じゃない。
「そんなん言うててもほら、周りの注目独り占めやで?」
「何が独りじ・・・は?」
那智の不可解な言葉に、ようやく周りをしっかり意識する。
ようやく、やけにチラ見されていることに気付く。
チラ見どころか指を差し何か話しているではないか。
「え、何。俺なんか変?今更見せ物パンダ?」
若干戸惑いながら那智に聞くと、笑いながら「今だからこそ見せ物パンダ」と力強く言い放った。
死ね。
「多分ヒメギミの秘書様が式事でヒメギミのお傍に居ないのも珍しいし、芹沢君と南田君のツーショットで盛り上がる女の子も居ると思います。」
杉浦ほのかの分析結果の後半に、思わず眉がピクついた。
「え、俺もなん?アカンなぁ響、ここから始まる色恋でも期待されてんのとちゃう?」
「アホか。腐った林檎じゃあるまいし。」
―ヒソ・・
「あの二人って、怪しいわよねぇ・・・。」
「やだ、絵になりますわね!」
「・・・。」
「・・・響、アカンで。相手は女の子や。その握り拳開き。」
俺がどう血迷えば那智と色恋に走るってんだ腐った林檎共め。
きもっちわりぃ妄想垂れ流してんじゃねぇよぶっ飛ばすぞ。
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