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それからずっと周りの視線を浴びながら、気疲れ絶頂で最悪だった。
正直やたらと長く感じた始業式も、話なんか耳に入る余裕は無いまま終わった。
那智曰く、会長もあからさまに元気が無かったとか。
まぁそりゃそうだろう。
「せやから疲れるだけやて言うたやろ。」
「忠告は事前に教えとけよ・・・。」
「事前に言うたら助かってまうやんか。」
「あ、助ける気はねぇんだ。さいてー。」
教室に戻るまでの道のりで、那智の悪戯な笑みに殺意を覚える。
その間も周りの目は俺を捕らえて話のネタにしているようで、
・・・たかが会長秘書なだけの庶民でどんな話題が花咲くと言うのか。
これなら会長のとこに居たほうが楽かもしれないと改めて実感する。
しかし俺の受難と苦悩の日々が、こんなちまっこいストレスで終わるわけも無い。
すっかり忘れていたソレをこの身で思い知るのは、
教室に入った瞬間だった。
「「「「ありがとう芹沢君!!!!」」」」
「・・・あ?」
今まで関わらずにきたクラスの連中が、こぞって俺に頭を下げてきたのだ。
名前すら記憶に無いそいつらの中には、泣きながら俺の手を掴み凝視しながら礼を言ってくる奴まで。
突然の出来事に戸惑いを隠せずたじろぐ俺を尻目に、那智がにこやかに笑って俺の肩に手を置いた。
「みんな顔あげぇ。ほんで響の偉業を讃えようやないか!」
「は?」
な、那智さん?
なんの話・・・――――――
「南田の言う通りだな!芹沢君のお陰で僕らは特進クラスに居続けることが出来たんだから!」
・・・うん?
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