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―――――・・・
「えぇやんか、クラスに馴染んどいたほうが。」
「それであんな与太飛ばしたのかよ。」
2時限目終わりの休み時間。
那智が自販機に飲み物を買いに行くのについてった時、今朝のクラスでの騒ぎについて聞いていた。
自販機と睨み合いながら、お目当てのモノ目掛けて人差し指を突き出す。
乱暴に落とされた缶と同時に那智も腰をかがめた。
「ちょっと脚色しただけやて。クラスと距離あったら今後苦労するやろ?・・・あ、押し間違えてもうた。これ無糖や。」
「別にこんなイカれた学コに馴染む気ねぇけどな。」
取り上げた缶は狙った獲物の隣にあったブラックコーヒーだったらしく、那智は自分のミスなのに小さく舌打ちをしながら再び財布を開いた。
「まぁ上手く利用しながら過ごしたらえぇんちゃう?そのための与太話やったし。はいコレ、響にあげる。俺ブラック飲まれへん。」
「那智さん黒いすね。つかこれ奢り?」
小銭を入れながら、押し間違えた缶コーヒーを俺に手渡す。
那智はコーヒーが飲めない。
カフェオレが限界らしい。
「しゃーない、奢り。ちゅうか響に協調性が無さ過ぎるから考えてやってるんやで。こない優しい奴おらんやろ。」
「俺、那智が女だったら嫁にしてるかも。」
「やろ?俺ヒメよか響の嫁に向いてんで。・・・お、新発売やて。ミルクココア。」
「うわ、甘ったるそー。つーか会長なんか世界一嫁に向かねぇだろ。」
「ヒメが嫁とか最高やろ。ミルクココアより甘い夜。」
「そっちかよ。夏弥にチクってやろ。」
「冗談やろ!ってケータイ出すな!その前にいつ夏弥とアド交換したんよ!?」
「去年の視察ン時。てかチクっても意味ねぇか。那智の一方通行だもんな。」
「響!お前サイテーやぞ!!」
複数の無駄話を同時進行で話しながら、10分ばかりの休み時間をダラダラと過ごす。
那智をイジるなら、夏弥ネタが一番だ。
地味に楽しい。
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