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俺はペットボトル片手に軍の会議室でプラティさんを待った。
ブラインドは閉めたままだが窓は全て開けた。それでも夏の暑さのせいで籠った熱が出て行かない。
午後、プラティさんは上司の所へ行き次のターゲットの資料を受け取りに行った。
この生活が始まって二年が過ぎていたが、ここと上司の居る施設が離れてて不便だと最近、気付いた。
お陰で午後は一人で空挺隊員と訓練して体中が痛い。今日は、もう食器すら持てそうにない。
「プレコいる?」
ドアごしにプラティさんが俺を呼んだ。少し元気が出た。
「います」
プラティさんは入って来るなりカバンから書類を出して俺の前に置いた。
半分、投げたと言って良いかも知れない。ぱさりと音を立てた。プラティさんにしては雑な置き方だ。
「…何か怒ってません?」
そう聞くと素っ気なく答えた。
「別に怒ってないわ」
誰が、どう見ても怒っていた。まあ俺が原因ではないだろう。
「怒ってるじゃないですか」
それに対しプラティさんは
「部下に不満を漏らす訳には行かないわ」
確かに俺は部下だが、そんな表面だけの付き合いではない。
責任感から来るのだろうが、それは酷い。
「じゃあ俺も怒ります」
今度は机に手をついて笑い始めた。
「じゃあって何よ?」
どうやら俺は変な事を言ったようだ。
「それより不満ってなんですか?」
深呼吸をしたプラティさんは真顔に戻った。
「ターゲットについてよ。軍が暗殺する相手じゃないわ」
その答えに俺は不思議に思いながら書類を読んだ。
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