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「僕は…御主人様が思っているようなものではないです。」
「え?」
「僕は、人間です…人形ではない」
「そんな!じゃあ…」
トアリエは嘘を?
「人間だけど、満月の夜以外の日は人形のようのに深い眠りに落ちてしまう…僕は呪われているんです」
「深い眠りに落ちる呪い?」
じゃあ、トアリエの話は嘘ではないのね
「ずっと眠っている間御主人様の声が聞こえていました…色々なことをお話してくださったですよね」
「え…覚えているんですか?」
「はい」
この時、初めて穴があったら隠れたい状況だった。恥ずかしくて真っ赤な顔を伏せているとフォルテが顔を覗いてきた。
「御主人様?」
「!?…その呼び方はやめてほしい…貴方に名前があるように私にも名前があるから…私は――」
「あぁあ、待って待って下さい!僕に名前を教えないで!」
「え、どうして?」
「名前はまたいつか教えてください、僕が知りたくなった時に…」
「でも、そしたらなんて呼ぶつもりなの?」
「御主人様じゃ駄目でしょうか?」
「……わっかたわ、マスターでもいいわ」
何だかムズ痒いけど、ここは我慢ね…
「ありがとうございます御主人様!」
そうして、2人の出会いは始まった。
この時私は知らなかった、フォルテのあの振る舞いがすべて偽りだったと―――。
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