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翌日、目を覚ますと私は自分の部屋のベットで眠っていた。
昨日の夜のことを思い出し、ただぼんやりと暗い夜空をカーテンのない窓から見つめていた。
そういえば、この世界はずっと夜空が広がっている。
私がいつも見る夢の中では綺麗な青空が広がっているのに…いや、もともと青空は存在しない、だってこれが現実だから。
コンコンッ
ノックの音がした、誰か来たみたいだ。
私は返事をすると外からフォルテが立っていた。
「!?」
思わずビックリしていると、フォルテは一度ニッコリと笑って部屋に入ってきた。
マスター
「はじめまして、御主人様。僕はフォルテ=エレジートと申します」
「え?」
急にお辞儀をされて私は目が点になった。
「あの、どうして名前を?」
「僕は御主人様に使えるものですから当たり前のことです、訳があり暫くこの屋敷には不在で執事のトアリエやサディにすべてのことを任せていましたが、今日戻ってくることが出来ましたのでよろしくお願いいたします」
「…はい」
訳が分からないまま頷くとフォルテは微笑んだ。
「それでは僕はこれで失礼します」
そういって、フォルテは部屋を退室した。
私は、昨日のことを思い返し今のフォルテは満月の夜のフォルテではないことを確信した。
なら、満月の夜になればまたあの日のフォルテになるということ。
すべては演技だと言っていたから今の状況が理解できる。
ということは、満月の夜のフォルテは本当のフォルテではないのかもしれない。
よかった…でも、どうしてあんな奥の部屋でずっと眠っていたのだろう?
1つの疑問がアリエッタの頭に浮かんだ。
まだ、謎がある…
それに、フォルテが最後に言ったあの言葉
『でも、これだけは覚えていて…満月の夜、オレだけが豹変するのではないことを』
一体、どういうことなの…?
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