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もう1人のフォルテは、特に仕事をしている様子を見せなかった。
気になって話しかけてみることにした。
「こんにちはフォルテ」
「あ、御主人様」
声をかけると、嬉しそうに笑顔を向けてきた。
「フォルテは何か仕事をしないの?」
「仕事ですか?やろうとは思ってるんですけど…2人ともに止められてしまって」
「止められたって?」
「そいつ超が付くほどの不器用なんですよ」
すると、後ろから声がした。
振り向いてみると、サディが重たそうな袋を持って立っていた。
「不器用?…それって」
「サディ!御主人様の前でそんなこと言わないでください」
「本当のことだろ、ずっと前にトアから部屋の掃除を頼んだら部屋を破壊しかけただろ?」
「あれは…ちょっと足が滑ってしまって」
部屋を破壊しかけたって、一体何をしたんだろう?
肩を落とすフォルテを見て少し気の毒に思ってしまった。
「今忙しくてオレの仕事を手伝わせたいとこだが、また薔薇園を崩壊してもらったら困るしな」
「すみません」
フォルテの今の姿は、自信にあふれた優雅な王子が頼りない王子に変わっていたので、そのギャップに驚いた。
「サディ…」
「そんな目で見るな、女ならまだしも男には興味ないんでね」
「じゃあ僕はこのまま一生役立たずなのですか?」
「そうなるな、俺はまだ仕事が残ってるからもう行くぞ」
そうだ!
アリエッタは何か思いついたようでフォルテに話しかけた。
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