満月の出会い

9/16
前へ
/50ページ
次へ
ノックをして執長室に入るとトアリエは椅子に座って執務をしていた。 「トアリエお話があるのですが…」 「手伝うことは何もないですよ」 「うっ…」 最初っから断られてしまった。 「あの…」 「お嬢様そこにおられたのですか」 トアリエはフォルテの後ろにいたアリエッタに気が付いた。 「私もフォルテと一緒に手伝ます、そうすればきっと失敗も減ると思うんです」 「お嬢様、フォルテの不器用さは壊滅的です絶対に無理ですよ」 溜息をつかれた。横を見ると落ち込んだフォルテの顔が見えた。 「でも、何事もやってみないとわからないことがあります…お願いします」 私は、頭を下げた。 「御主人様!」 「……わかりました、お願いですから頭を上げてください」 「本当ですか?」 頭を上げるとトアリエは参った顔をして了承してくれた。 フォルテはというと、嬉しそうに喜んでいる。 「フォルテ、貴方にはお嬢様と屋敷の掃除を任せます…くれぐれも何も壊さないようにしてくださいね」 「はい!ありがとうございます」 2人は早速部屋に出ると仕事を始めた。 私はモップを持ち床を磨こうとバケツを持ち水を汲みに行こうとした。 「御主人様それは僕がやります」 「え、大丈夫ですよ?」 「いいえ、駄目です僕にやらせてください」 「じゃあ、お願いします」 そう言って頼むと、フォルテは嬉しそうに微笑んだ。 「お任せください」 そういってバケツに水を汲みにフォルテは行った。 私は、戻ってくるまで窓を乾拭きしていると奥から叫び声が聞こえた。 「うわぁぁあ!?」 「!?」 フォルテ!? 私は叫び声がした方へ走って向かった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加