1章 目覚め、そして始まり

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1章 目覚め、そして始まり

本来目覚める事のない眠りについた筈の青年。 しかし、彼(青年)の事を終始見ていたある人物の手によって、その眠りは覚まされる事になった。 「…………。 (ここは何処だ…?何故俺は生きている…。)」 現状が把握出来てない青年。 自分の体を一頻り確かめた後、周りをキョロキョロと見渡している。 青年が目覚めたこの場所、不思議な事に辺り一面真っ白なのだ。 前も後ろも右も左も上も下も全てが白一色。目覚めていきなりこんな場所に居れば、戸惑うのも当たり前である。 「ふぉっふぉっ、困惑しとるみたいじゃのぅ? まぁ無理もない、死んだと思ってたら、いきなりこんな場所で目覚めたんじゃ。夢の筈もないしのぅ。ほーっほっほっ。」 突如聞こえる謎の声。 青年はすぐにその声の方に向き直った。 そこにいた愉快そうに笑っている声の主は、真っ白の衣に身を包み、これまた真っ白で長い髪と長い髭を蓄えた、とても優しそうな老人だった。 その老人はゆっくりと青年に近付くと、徐にその青年の体を抱き締めた。 突然の事に戸惑いを見せる青年。 だが、そんな青年の反応はお構いなしに老人は抱き締めた状態のまま話を始めた。
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